かんたん「勝共理論」講座③


「資本論」の批判と克服

 労働者を結束させ、革命に立ち上がらせようと、マルクスは「弁証法的唯物論」と「唯物史観」に加え、決定的な武器を編み出しました。資本家らを正義の名によって打ち倒すために、万人を納得させる資本家の罪状を暴き出す理論です。打倒すべき資本主義社会の根本的な矛盾を「商品」の中に発見したとして、150年前に発表した「資本論」がそれです。

 

■ 労働価値説とは

 マルクスの『資本論』は、経済学の本のように思われていますが、中身は革命を煽る哲学書のようなものです。もちろん誤った理論ですから、それを実践したソ連や北朝鮮などの共産国は、悲劇的な経済の衰退が起きました。

 

 その中心的な理論が「労働価値説」です。商品の価値の本質は労働時間であるとしていますが、その意図は次のようなものです。

 

 「商品の価値を生み出しているのは労働者であり、資本家は一切生んではいない。本来、価値を生んだ労働者のものであるのに、資本家が利益を独占している。彼らを打倒しない限り、労働者の真の幸福はあり得ない!」と、労働者の蹶起(けっき)を促すものでした。

 

■ 剰余価値説とは

 「資本論」のもう一つの理論に、資本家が労働者を搾取しているとした「剰余価値説」があります。企業の利潤(儲け)は「機械や設備は減価償却費とされるので価値を生まないから、賃金分以上の労働が生んだ価値(剰余価値)による」とした理論です。

 

 労働者は、賃金分の労働(必要労働)以外に、儲け分の労働(剰余労働=不払い労働)を強いられ、資本家は肥え太っていると糾弾した、まさに労働者を革命に駆り立てるための理論でした。

 

■ 労働価値説の批判

 生産手段を独占する資本家を打倒し、労働者階級が生産手段を共有にすることが革命であり、できあがる社会が共産社会です。その社会は、誤った思想の上に築かれたために、悲惨な結果を生むことになっています。

 

 「労働価値説」では、物に労働が加えられて、初めて商品としての価値が付与されるとしていますが、現実には労働を加えられていなくても商品としての価値を持つ物は多くあります。例えば自然物である宝石や貴石、石油や鉄鉱石などの鉱物資源、魚介類など数え上げればきりがありません。

 

 しかもマルクスは「輸送は価値を生まない」としていますから、採掘や捕獲などの労働が加えられても、労働によって商品になったとはいえません。他にも骨董品や美術品のように、新たな労働を加えなくても、保管しているだけで価値が上昇する商品も無数に存在します。アイデアや情報、知識など例外ばかりで、とても科学的な理論とはいえません

 

■ 剰余価値説の批判

 マルクスは「機械や設備は価値を生まない」と主張しました。しかし、機械化されたオートメーション工場や、ロボットによる自動生産工場を考えれば、労働者だけが価値を生むとした「剰余価値説」の誤りが分かります。

 

 また、パソコンやスマホなどの便利で生活を豊かにする商品を生み出す特許や技術も莫大な価値を生んでいます労働力だけ価値を生むのでないことは明らかです。

 

■ 「資本論」の代案

 マルクスは「労働者のみが生み出した利益を、資本家が独り占めしている」と告発していますが、事実は全く違います。労働を加えても、利用価値のないものは商品とは呼べません。「労働量」の多寡が問題ではなく、使用価値が大切。つまり商品とは、消費者に対して効用を与えるものであり、売る側と買う側の「満足量」である喜びの「効果量」によることがわかります。

 

 そこで「満足量」「喜びの量」をお金で表現したものが価格になります。生産者側と消費者側の「満足量」が一致したとき、交換(売買)が成り立つということです。

 

 「資本論」の代案として、勝共理論では「効果価値説」を提唱しています。革命によって社会が良くなるのではなく、共存共栄の精神により、利益を役柄に応じて公平に分配される仕組み作りによることがわかります。

 

(「世界思想」2017年6月号より転載)

 

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