かんたん「勝共理論」講座①


弁証法的唯物論の批判と克服

 マルクスは、資本家階級(ブルジョアジー)に支配されている労働者階級(プロレタリアート)の解放は、前者の打倒以外にないと結論。後者に革命意識を持たせようとしたのが共産主義思想です。

 

 それは①弁証法的唯物論(哲学)  ②唯物史観(歴史観)  ③資本論(経済学)から構成されています。これらの思想に対する批判・克服をかんたんに試みてみます。

 

弁証法的唯物論とは

 自然界や社会の変化・発展は、事物内の矛盾と闘争に起因するとした「弁証法」という理論と、全て根源を物質とする「唯物論」とを合体させたものです。この理論によって、心や神仏などの外部的な存在を完全に否定されたわけです。

 

 共産主義者が、「対立と闘争による発展」の例に挙げるのが、卵の例です。「卵のカラと黄身は矛盾関係にあり、黄身はヒヨコになろうとし、カラは阻止しようとしている」と見て、ヒヨコは自分を押し込めているカラを破って誕生すると主張します。

 

 これを社会に当てはめると「資本家階級(カラ)は、資本主義社会を守ろうとし、労働者階級(黄身)は、カラ(支配者)を暴力で打ち破り(革命)、新しい社会(共産国)を誕生させるといいます。

 

 この時、「量から質への転化の法則」が働くとしています。水が熱(量)を徐々に加えられ、100度になると沸騰し、液体から気体へと質が変わるとする法則です。同様に、労働運動が高揚(量)し、沸点=革命により、資本主義社会から、質的に全く違う共産社会へと転化するという訳です。

 

■ 共産主義唯物論

 マルクスは、資本家階級を無慈悲に殺せる革命家が不可欠と考え、人間は神聖な存在ではない単なる動物が進化したものと観る共産主義唯物論を主張しました。

 

 さらに全ての発展は対立物の闘争によるという哲学=弁証法を結びつけ、暴力革命を正当化させたのが「弁証法的唯物論」でした。

 

共産主義唯物論の批判

 唯物論では「物質である脳が精神を発生」させていることから「精神は物質の産物」としていますが果たしてそうでしょうか? 

 

 脳をラジオに例えると、ラジオから出る音声は精神に当たり、音声(精神)は、ラジオそのものから発生するのではなく、放送局からの電波をラジオが受信し、音声を出しているだけです。

 

 同様に人間の精神も、電波に相当する心が脳を仲立ちとして表れたものとも考えられ、必ずしも精神が物質である脳の産物とはいえません。そもそも物質は、分子の集合体で、分子は原子、原子は素粒子、素粒子はエネルギーから成り立ち、エネルギーは重さも形もない存在です。

 

 一方、精神も目に見えず、質量もない点では、似ています。カエルの脚の筋肉に電気的、力学的刺激を加えると動きます。脳の指示でも動き、人間の場合は心の命令で筋肉が動きます。したがって、心にも物質的要素があると考えなければ説明がつきません。両者の関係は、最新の量子力学や不確定性原理などで明らかにされています。

 

■ 弁証法的唯物論の批判

 全ては「対立と闘争で発展する」とする弁証法的唯物論は、一方的な独断に過ぎません。闘争するのは、両者の目的が相反した時だけです。卵のカラと黄身は目的が相反せず、カラは黄身が成長するまで保護して役目が終わる頃には薄くなり、ヒヨコが破り易やすくしているのです。

 

 卵の全てはヒヨコを産み出すためであり、目的は完全に一致しているのです。自然界では闘争で発展するものはなく闘争は破壊をもたらすだけです。さらに「質から量への転化の法則」ですが、水(液体)が蒸気(気体)となっても、状態が変わっただけで、質的には何ら変化していません。

 

■ 弁証法的唯物論の代案

 このように自然界の全ての事物は「対立物」ではなく、相互に関係し合っている「相対物」として存在しています。その関係は、矛盾・対立しているわけではありません。互いに共通の目的を持って協調し合っているのが正しい自然観です。この協調し合う関係を、互いに授け受ける関係ということで「授受法(じゅじゅほう)」といいます。

 

 卵のカラや黄身は、ヒヨコを産み出すという共通目的を持った存在であることは明確です。胚子に養分を与えたり、保護したりそれぞれの持っている能力を「授け」、胚子が「受け」て成長させ、共通の目的であるヒヨコを誕生させているのです。決して対立・闘争する存在ではありません。

 

 なぜ弁証法的唯物論は、科学的であるかのように見せかけていたのは、「暴力革命の正当化」にあったことは歴然です。

 

(「世界思想」2017年6月号より転載)

 

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