トランプ政権、国家安全保障戦略を発表


 トランプ米大統領が12月18日、政権の安全保障政策の方向性を定める「国家安全保障戦略」を発表しました。

 

 「アメリカファースト」(米国第一)の立場から、国際社会における米国優位の回復を実現することを明言しました。また、戦略の大方針の一つとして、「力による平和の維持」を掲げ、国力の増強を前面に打ち出しました。

 

 トランプ氏は同時に、従来の米国の戦略が失敗だったとも語りました。前オバマ政権が「リバランス政策 [1]」を掲げつつも、実際は中国やロシアの覇権拡大、北朝鮮の核開発の進展を許してしまったことが念頭にあります。

[1] 米国の軍事・外交の重心をアジア・太平洋地域に移すというオバマ政権の政策。実際には同地域に力の空白を生み、中国の覇権拡大を許した。

 

 国際秩序の安定のために、超大国である米国が果たすべき役割は極めて大きいのが現実です。トランプ政権の戦略は評価すべきものといえるでしょう。

 

 トランプ氏は演説で、中国とロシアを「現状変更国家」「修正主義勢力」と名指しで非難しました。また、北朝鮮の金正恩体制は「米国や同盟諸国を脅かす『ならず者国家』(rogue [2] nation)」であると非難し、「金体制が世界を脅迫できぬよう、同盟諸国とともに非核化に向けあらゆる措置を講じる」と強調しました。いずれも現実を踏まえた的確な認識であるといえます。

[2] 意味は悪党、ごろつきなど。

 

 日本としては、トランプ政権の「アメリカファースト」に対して懸念もありました。アメリカが経済的実利を重視するあまり、「自由、民主主義、法の支配」といった普遍的価値を一歩後退させるのではないかというものです。中露の横暴を容認すれば、日本の安全保障が危機にさらされるばかりか、国際社会が一気に不安定化するのは間違いありません。

 

 今回の発表は、こうした懸念を払しょくするのに十分なものでした。トランプ氏が北朝鮮を、米国だけでなく同盟国の脅威であると明言した点、脅威への対処には同盟諸国との関係が重要だと強調した点も極めて重要です。

 

 今後は日本の外交・安保政策の充実がさらに問われることになるでしょう。従来のような内向きの一国平和主義では国際社会の安定に貢献することはできません。普遍的価値の恩恵を享受する以上、相応の負担を負うのは当然の義務です。国際社会において名誉ある地位を占められるよう、安倍政権の積極的平和主義をより一層進めるべきです。

 

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