トランプ大統領の施政方針演説を評価する


 トランプ米大統領が2月28日、初めての施政方針演説 [1]を行いました。その中でトランプ氏は、「(アメリカ軍の)軍備を再建する」と宣言し、「国際社会に対する直接的で強固で、有意義な関与」を求めると語りました。

[1] 政府の長が、議会でその年一年間の政府の基本方針や政策についての姿勢を示すために行う演説。

 

 この背景には、オバマ政権時代に国防費の強制削減が決められたこと、そしてアメリカが国際社会への関与を弱めたことで世界に混乱が生じてしまったことがあります。トランプ氏は、オバマ政権時代の負の遺産を払拭すると言っているわけです。

 

 例えばオバマ氏は、「核なき世界」を訴えてノーベル平和賞を受賞しましたが、実際には北朝鮮への「戦略的忍耐」が失敗し、核ミサイル開発を許してしまいました。また中東のシリア問題では、重大な国際法違反を放置した結果、深刻な難民問題をもたらしてしまいました。中国の覇権主義にはリバランス政策 [2]で対抗すると言いましたが、結局は中国による南シナ海の軍事拠点化を許してしまいました。オバマ政権の8年間で、世界は混乱の時代へと突入してしまったのです。

[2] 米国が世界戦略を見直し、重心をアジア・太平洋地域に移すという軍事・外交政策

 

 これらのことは、理想論を掲げるだけでは、国際社会の平和は実現できないということを示しています。戦争や混乱を防ぐために外交努力を重ねることが重要であることは言うまでもありません。しかしその背後には、十分な軍事力と、「必要ならば戦ってでも平和を守る」という強い意志がなければなりません。それが国際社会の厳しい現実です。

 

 トランプ氏は演説で、「戦争を防ぐために必要な装備を軍に与え、戦わなければならない時は勝利する」と断言しました。また、北大西洋条約機構(NATO)などの同盟関係を重視するとも語りました。世界の平和と安定を守るために、具体的な抑止力をもつという決断は評価すべきです。

 

 今後は日本に対しても、より一層の役割を求めてくる可能性があります。これまでの日本は、「自国さえ守られれば良い」という立場で安全保障問題を考えてきました。しかしそれが限界にきていることは誰の目にも明らかです。日本も今後、米国とともに韓国を巻き込んで平和構築のためのより大きな役割を果たすことができるよう、安全保障政策を検討していくべきです。