トランプ氏記者会見、メディアの偏向報道にこそ惑わされるな


 米次期大統領のトランプ氏が1月11日、約半年ぶりの記者会見を行いました。日本では、多くのメディアが「日本名指し批判」(日テレNEWS24)などと、さもトランプ氏が日本に対して強い敵意をもっているかのように報じました。

 

 しかし、記者会見の様子を実際に見た人であれば、誰もがこうした報道に違和感を覚えるはずです。長い記者会見の中でトランプ氏が日本に触れたのは、わずか2カ所だけでした。しかもそれは、中国に対して「経済で米国を完全に食い物にし、南シナ海を(埋め立てて)要塞化している」と批判する流れの中で、「(貿易赤字を抱えているのは)日本、メキシコ、ほかのすべての国との間でもだ」と付け加えたに過ぎないものです。

 

 中国への批判は、米国からの輸入に対する不当な関税や中国国内における為替操作などを念頭においたものです。これに対して日本への言及は、年間約200億ドルの貿易赤字を抱えていることを紹介したものです。その真意は、「私なら日本に対してもっと有利な交渉ができる」という自信を示すことでしょう。

 

 こうした背景を知りつつ、わずかな日本への言及を「日本名指し批判」と報じるのはかなり無理があります。読者を惹きつけるためにあえて話題を創り出しているのでしょうが、こうしたメディアのやり方に惑わされてはなりません。

 

 トランプ政権の日本に対する態度を理解するには、次期国防長官に指名されたマティス氏の発言こそ注目すべきです。同氏は12日、上院軍事委員会の公聴会で、アジア重視政策をとることを明言し、自国や同盟国(日本や韓国)を守る決意に「疑いはない」と断言しました。

 

 日米関係では今後、経済面で厳しい交渉が始まるでしょう。また、同盟関係においても駐留費の負担が問題になるでしょう。しかしそれを即、「日本批判」「関係悪化」などと結論付けるのは誤りです。国際経済はそもそも厳しいものなのです。そのことを十分に理解した上で、戦略的に同盟関係を深化させることが重要なのです。