中国「激怒」、トランプ・蔡総統の電話会談


 台湾は、中国の核心的利益です。それも最優先の、です。江沢民はかつて、2020年までに台湾統一をすると述べていました。今の南シナ海や、東シナ海の尖閣諸島を実効支配しようとする先に「台湾解放」があるといっても過言ではありません。

 

 その台湾・蔡英文総統とトランプ氏が12月2日、およそ10分間の電話協議を行ったというのです。「『プレジデント』蔡氏が電話をかけてきた」と、トランプ氏は自身のツイッターで公表しました。

 

 中国の王毅外相はすぐに反応し、「台湾側の小細工に過ぎない。『一つの中国』の原則は、米中関係の健全な発展の基礎だ」と述べ、名指ししての批判はしなかったのですが、トランプ氏にクギを刺しました。

 

 蔡氏も3日に報道文を発表し、10分を超える協議ができ、「国内の経済発展と国防の強化」やアジア情勢をめぐり意見交換したことを明らかにしています。

 

 習近平氏のメンツは完全につぶされました。内心は「激怒」でしょう。それも「運悪く」、2日にキッシンジャー氏と会談しており、両者が握手する写真が人民日報に掲載された日だったのです。その時、キッシンジャー氏は11月17日にトランプ氏に会い、「(対中政策は)対立ではなく、協力から始めた方がいい」と助言したと伝えています。

 

 習氏は「安定した発展を継続させたい」と述べ、キッシンジャー氏が「米中関係の安定的な発展を米新政権も期待していると信じる」と応じたことを伝えたその日だったのです。

 

 米国と台湾との複雑な関係について、述べておきます。1971年、米中が接近(キッシンジャーが橋渡し)し、国連の代表権が中国になりました。その結果、台湾は国連から追放されてしまいます。その後1979年に米中は国交断絶に至り、米国は中国が主張する「一つの中国」原則を認識しているとの「建前」から、これまで米大統領と台湾総統との会談を控えてきたのです。

 

 しかし、同時(79年)に米国は、台湾防衛を可能にする台湾関係法を制定し、武器供与など、台湾に対して一定の配慮を示してきたのです。

 

 この協議には、事前調整があった可能性を12月4日、朝日新聞は伝えています。実現の背景に、米国の「親台派」があり、保守系シンクタンクの「ヘリテージ財団」の創設者であるフルナー氏が10月に訪台し、蔡氏と面談していたのです。

 

 選挙期間中、トランプ氏は中国に対して「為替操作国」と批判し、「中国は米国民の飢死(うえじに)を望んでいる」などと発言し、「輸入関税を45%にする」などと述べていました。この度の行動は、「アメリカファースト」といっても、中国のアジアでの勝手な行動は容認できないとの意思表示とも見ることができます。

 

 中国にとっては、頭から冷水を浴びせられたような出来事であったことは、間違いありません。