トランプ氏の勝利をどう見るか?


 アメリカの大統領選挙でトランプ候補が勝利しました。この結果が日本に大きな影響を与えることは間違いありません

 

 従来のアメリカでは、共和党の候補者は熱心なキリスト教徒を最大の支持者と考えてきました。ですから国内では同性婚に反対し、国際社会では「アメリカは世界の警察」という価値観に基づく政策をとってきました。これまで勝共連合が支持してきたニクソン、レーガン、ブッシュ大統領も、いずれも共和党の人物でした。

 

 これに対して民主党の候補者は大抵、国内では個人主義、国際社会では孤立主義の立場をとります。オバマ政権も同様で、この期間にアメリカでは同性婚が合法化され、軍事的プレゼンスが大きく低下しました。勝共連合はオバマ政権の政策を厳しく批判してきました。

 

 トランプ氏の選挙戦略は、「格差社会に不満を持つ労働者」をターゲットにすることでした。それで共和党の候補者でありながら、徹底した孤立主義を主張してきました。国民の福祉に役立たない軍事政策は、できるだけ縮小すべきだという訳です。これは国際社会の平和と安全にとって、大きなマイナスです。

 

 ただ、「だから民主党のクリントン氏が良かった」と、すぐにはならないのが難しいところです。クリントン氏はオバマ氏の政策を引き継ぐことを明言していました。たとえクリントン氏が勝っても、米軍の役割は拡大せず、同性婚容認も続いたことでしょう。

 

 正直、トランプ政権がどのような政策をとるのかはまだ不透明です。極端な暴言を繰り返すことで知名度を上げ、選挙を有利に戦ってきたのは事実ですが、実際に政権運営を始めれば、現実路線をとる可能性もあります。もちろんその保証はどこにもありませんが。

 

 日本としては、当面の課題はTPPです。トランプ氏はTPPをはっきりと否定していました。「TPPの基本的な内容」で説明したように、TPPは日本の経済成長の切り札であると同時に、経済的な中国包囲網という要素をもちます。

 

 そして安全保障政策です。トランプ氏は日本の「安保タダ乗り論」を主張します。大半は誤解ですが、日本が憲法9条ゆえに米国に依存していることもまた事実です。

 

 トランプ氏の外交における課題は、共産主義の脅威を十分に理解していないところにあります。日本としては、中国の脅威日米同盟の意義を根気強く説明するとともに、アメリカと対等に交渉できるよう、通常の国家としての安全保障体制を早急に整えていくべきです。