トランプ氏、TPP脱退宣言 日本が自由貿易の守護者となれ


 米国の次期大統領ドナルド・トランプ氏が11月21日、ビデオメッセージを公表し、大統領就任初日に「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)から脱退する意思を表明する」と明言しました。当選後、TPP脱退に言及するのは初めてです。

 

 トランプ氏の公約である「アメリカ・ファースト」(アメリカを第一に考えるということ)の「重さ」が示されることとなりました。

 

 日本では今、TPP承認案の成立を目指して参議院で論戦が行われており、さらに17日には、安倍首相とトランプ氏の会談が行われたばかりです。発効への環境はさらに厳しくなっています。

 

 「ビデオメッセージ」の中では「就任初日に起こせる行政府としての行動」を挙げているのですが、その一番にトランプ氏はTPPからの脱退を挙げたのです。その上で雇用や産業を米国に取り戻すために、二国間での自由貿易協定を目指すとしていますが、具体的な対象項目などは不明です。

 

 TPPには12ヵ国が参加していますが、条約の発効条件は、批准した国の数が6ヵ国以上、さらに批准した国のGDP(国内総生産)合計が、参加国全体GDPの85%以上となることです。米国と日本、いずれか一国が抜ければ発効できません。現状での発効は不可能になってしまいます。

 

 しかし11月11日、メキシコのグアハルト経済相は、米国抜きのTPP発効の可能性について発言しました。当然、協定の見直し作業が必要になりますが、できないことではないというのです。

 

 安倍首相はかねてから、「アメリカ抜きでは意味がない」と繰り返してきました。米国への働きかけをギリギリまで続けることが何よりも必要になりますが、戦後秩序の柱である自由貿易圏の拡大を維持するためには、「決断」しなければならない事態になる可能性もあります。

 

 日本の「自主」の幅は大きくなりますが、世界に広がる孤立主義、保護主義の波を何としても押しとどめなければならないのです。それこそ「かつて来た道(世界大戦)」となりかねないのです。

 

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