TPP承認案・関連法案を成立させよ


 去る9月26日、第192 臨時国会が召集された。7月10日に行われた参議院議員選挙後最初の本格的国会である。野党第1党の民進党が蓮舫新代表を選出し、共産党との共闘路線の続行を確認しているだけに、今まで以上の与野党対決型国会となる。

 

 安倍晋三総理は衆参両院で所信表明演説を行ったが、その3分の2 以上は経済問題で占められていた。いわく、アベノミクスの加速、1億総活躍、地方創生等である。

 

 2006~07年の第1次安倍政権との最大の相違は経済最優先に徹していることである。いくら国防強化、「美しい国」と叫んでも、20年もデフレが続いている状況では国家自体がまた国民のマインド自体が委縮していて実現不可能な課題となる。

 

 安倍政権下でデフレ脱却、経済を成長軌道(国内総生産=GDP 600兆円台)に乗せなければ、日本は永遠に「日の沈む国」になってしまうのではないだろうか。

 

 日本という国の構造的問題は、東京大学法学部出身者が官僚の大半を占め、法務省や文部科学省であれば問題ないと思うが、経済産業省や財務省等の経済関連省庁でも主流を形成してきたことではないか。

 

 これは、何も東京大学法学部を批判しているわけではない。グローバル化が進む世界では経済が複雑に絡み、数学的頭脳や力量が相当ないと税制等も含む金融、財政、経済面における適切な政策の対応は困難となる。残念ながら、東京大学法学部は文科系であるだけに理科系に比較すると数学の面に限るとやや劣ると見ざるを得ない。

 

 財務省や経済産業省に入省してから経済を学ばせるから問題ないとの見解もあるだろうが、もともと文科系できた人であるから、数学的思考や能力面では限界があるので、最新の経済や金融理論の消化は難しいのではないか。

 

 東京大学文科Ⅰ類の入試の数学と理科系と同じくするか、経済関連の国家公務員試験を他と分けて数学を相当入れるか、何らかの早急なる対策が必要であろう。

 

 臨時国家が始まった9月26日、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)締結に向けた首席交渉官会合が始まった。年内の大筋合意を目指し協議が加速されている。

 

 英国がEU 離脱を決定しただけに、日本はEU とのEPA が急がれているし、ある意味ではそれ以上に大きな意図もある。米国からすれば、自国で環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を批准しなければ、日本市場にEU からの農産物が先に入り込むのではないかとの危惧が生じ、米国のTPP 批准推進派にとって追い風となるのである。

 

 安倍政権は、今臨時国会で経済成長戦略の要となるTPP承認案・関連法案の成立を最大の山場としている。その上でオバマ米政権による米議会での批准を願っている。

 

 米国は、11月8日の大統領選から来年1月20日の新大統領就任式までに議会通過が可能となるかの攻防となる。オバマ大統領がこれをやり抜けば、今までの「失点」をカバーすることができるといえるだろう。

 

国際勝共連合会長 太田洪量

(「世界思想」2016年11月号より)