北の新脅威には日韓防衛協定で


 リオ五輪も終わり、世界の目は4年後の東京五輪へと焦点が移ってきた。しかし2020年までの期間は、東アジアに大地殻変動が起きる激変期である。

 

 すでにその兆候が現れ始めた。8月16日、在英北朝鮮大使館ナンバー2のテ・ヨンホ公使が家族と共に韓国に亡命した。彼は北朝鮮屈指のエリート外交官で、テ・ヒョンチョル金日成総合大学総長の弟でもある。北朝鮮高官の韓国への亡命は2013年の8件から毎年倍々ゲームで増えてきており、このような事態を受け韓国朴槿恵大統領は8月22日、北の体制が揺らぐ可能性が高まっていると会議の場で発言した。

 

 その矢先の8月24日午前5時半、北朝鮮は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を1発発射。ミサイルは約500キロ飛行し、日本の防空識別圏の日本海に落下した。SLBMは300キロ以上飛行すれば成功とみなされており、2~3年かかると推測されていた北朝鮮SLBMの実戦配備は、来年前半には可能になるのではと、大きな衝撃を与えている。

 

 北朝鮮の一連の核・ミサイル実験については、6月5日に報道されたNHKスペシャル「北朝鮮 “機密ファイル” 知られざる国家の内幕」で、詳細に伝えれている。

 

 筆者が得ていた情報と総合すると、北の核・ミサイル実験は内部向けである。金日成体制下では愛国心、忠誠心、金正日体制下では愛国心が国民・兵士にあったが、金正恩体制になって両方ともになくなり、いつ誰が反逆するかわからなくなった。あるクラス以上の兵士に関しては個人情報ファイルを作り、危険視される人物は処分する。

 

 昇進は粛清の危険性が大きくなるので誰も望まず、妹の与正(ヨジョン)以外は全て面従腹背。兵士への食糧も十分供給されず、軍用車両の燃料も僅かしかなく通常兵器は時代物が多い。何の希望も感じられない国民を粛清と核・ミサイルでまとめているのが北朝鮮の実相である。朴大統領の発言もむべなるかなであろう。

 

 本年春には、北朝鮮有事の際に直接衝突を避けるため米中が水面下で話し合っている。中国の主張は平壌で線を引く。そうなると寧辺にある核施設は中国のものとなるから、米国は反対し、寧辺よりも北のラインで分割と主張したという。

 

 中国もTHAAD(最終段階高高度地域防衛ミサイルシステム)導入で韓国と対立、外交的に孤立し経済的にも疲弊し、共産党幹部の腐敗、権力闘争等深刻化している。北朝鮮にしろ中国にしろ、軍事的暴挙に出るか崩壊していくかの時が近づいている

 

 日米韓は両方を想定しながら対備していかねばならないが、米国は弱体化している。ではどうするべきか。先ずは北朝鮮SLBMへの防備。その為には哨戒能力を高めることが肝要である。幸い日本のそれは世界のトップレベルにある。韓国もそれを必要としてきている。先ずは日韓防衛協定を早急に締結しなければならない。今ほど日韓が協力して米国を巻き込んでいかねばならない時はないのではないか。

 

国際勝共連合会長 太田洪量

(「世界思想」2016年10月号より)