中国をどう見るか?


 日本の安全保障問題を考える上で、極めて重要なのが、中国をどう見るかということです。結論から言えば、中国は共産主義国家であるということをはっきりと認識しなければならないということです。

 

 安全保障では、一般的に軍事的脅威を「意図」×「能力」として考えます。どれだけ凶暴な意図があっても、他国を侵略する能力が全くなければ脅威にはなりません。逆も同じです。

 

 例えばアメリカは、世界最強の軍事力を保持していますが、日本とは同盟関係にあるので脅威ではありません。ですから日本の自衛隊が、「もしアメリカが攻撃して来たら…」などと想定して作戦を練る必要はありません。

 

 これに対して中国は、共産主義国家です。少し細かい話になりますが、共産主義思想には大きな三つの柱、すなわち経済、哲学、歴史に関する理論があります。このうち経済理論は「マルクス経済」とも言われ、かつては日本でも多くの経済学者が傾倒していました。

 

 中国はマルクス経済を実践しようとしましたが、膨大な餓死者を出すなどして失敗し [1]、資本主義を取り入れることにしました。これをもって日本では、「中国はもう共産主義国家ではない」と考える人がたくさんいます。

 

[1] 中国の初代国家主席である毛沢東が、1966年から10年間続けた文化大革命では、1億人以上が犠牲になりました。

 

 

 しかしこれは完全な誤りです。中国は今でも共産主義の哲学、そして歴史理論を捨てていません。むしろ憲法には、これらの理論に基づき共産党一党独裁体制をより強化すると明記されています。

 

 中国では、あらゆる組織を共産党が指導する体制を取っています。経済活動やマスコミ、警察や裁判所までもが共産党の指導を受けます。共産党支配に不利な結論が導き出されることは絶対にあり得ません。決して日本の常識が通用するような国ではないのです。

 

 何より中国では、軍隊が国家のもとにあるのではなく、共産党のもとにあります。正式名称は「中国軍」ではなく「中国人民解放軍」です。軍の目的は共産党支配の強化です。

 

 中国は建国以来一貫して、世界の共産化を掲げてきました。これが中国の明確な「意図」です。そして最近では、そのための「能力」を急激に増しています。日本が平和を掲げるだけでは何の解決にもなりません平和を願うからこそ、安全保障を強化しなければならないのです。