「駆け付け警護」について


 前回のPKOの説明に続き、今回は「駆け付け警護」についてです。

 

 前回お話ししたように、日本はPKOに自衛隊を派遣するようになりましたが、いくつかの問題が生じました。その一つが駆け付け警護でした。実際に起きた問題として、1994年のアフリカのザイールでの出来事を紹介します。

 

 当時のザイールでは、多くの日本人がNGOとして活動していました。日本人は今も世界中で活躍しており、特に途上国における献身的な活動は世界中で高く評価されています。

 

 その日本人NGOのうち、数人の医療グループが、現地で武装グループに襲われました。彼らはPKO活動をしていた自衛隊に救援を要請しました。自国の部隊に救助を要請するのは、国際社会では当り前のことです。

 

 ところが自衛隊には、自分と離れた所にいる人を救助に行くという任務がありませんでした。これが駆け付け警護です。自分と一緒にいる人なら救助できるのですが、駆け付け警護は当時、認められていなかったのです。

 

 当時の指揮官は悩んだ挙句、彼らを救出しました。そして指揮官が日本に帰ると、左翼系マスコミから大変な批判を受けました。

 

 駆け付け警護が認められなかった理由は、もし自衛隊が駆け付けた先に「国家または国家に準ずる組織」がいれば、つまりある国の軍隊がいれば、国と国との戦争になってしまう。そうすると憲法9条に違反してしまうというものでした。もちろん上述の救助活動では駆け付けた先に軍隊など存在せず、憲法に違反することはありませんでした。

 

 そこで安倍政権は、救助に向かう先に「国家または国家に準ずる組織」が絶対にいない状況であれば、駆け付け警護は任務として認められるべきではないかと主張しました。これが盛り込まれたのが平和安全法制です。「絶対にいない状況」はPKO 5原則によって定義しました。

 

 反対派は、駆け付け警護をすれば「誰かを殺さなければいけない状況になるかもしれない」などと批判します。しかし現在、日本人が世界中で活躍しているのは紛れもない事実です。反対派は彼らが襲われた時、武装勢力の命を守るために彼らの命を見捨てろというのでしょうか。全く筋が通りません。

 

 日本という国家が日本人の命に責任を持つ国家として当然の責務です。