最大の少子化対策とは?


 日本の人口減少が止まりません。今、日本では毎年数十万人ずつ人口が減っており2060年には人口の3分の1が失われるといいます。

 

 人口が激減すれば、社会のあり方が根本的に変わってしまいます。特に代表的なものが年金制度です。このままでは、皆さんが高齢者になった時には年金の給付を受けられなくなるかもしれません。他にも、多くの地域で病院や商店街が消える、テレビ局や新聞、鉄道会社が倒産するなどの事態が予想されています。人々の生活が今に比べて格段に不自由になることは間違いありません。

 

 政府はこうした状況を改善すべく、1994年以降、様々な少子化対策を行ってきました。しかし実際は、成果が思うように挙がっていません。その理由は、政府の方針に根本的な問題があったからです。それは社会を「家族単位」ではなく、「個人単位」で捉えてきたことです。

 

 政府は1996年に「男女共同参画ビジョン」を制定しました。これは、社会の制度や慣行の機軸を「世帯」(家族)から「個人」へ転換することを「喫緊の課題」と位置付けたもので、個人の「多様な生き方」に対応できる社会にしていこうというものです。事実上の「家族解体政策」というべきものであり、もちろん少子化対策もこの観点から行われました。

 

 その結果、これまでの少子化対策と言えば、ほとんどが保育所の整備など、働く女性に対する「仕事と子育ての両立支援」に限られてきました。もちろん両立支援は重要なのですが、それだけでは少子化対策としては不十分です。

 

 日本で本当に必要とされている少子化対策は、「子育てをしながらでも働きたい」という一部の女性の要望に応える政策ではなく、子供をもつ母親全体に対する支援です [1]。これは、「女性も男性と同じ一人の労働者である」という観点ではなく、「女性は子供から見れば、かけがえのないたった一人の母親である」という観点をより重視するものです。

 

 男女共同参画ビジョンは、文化共産主義者が関わって作られました。これを転換しなければなりません。最大の少子化対策の方法は、家族への支援にあるのです。

 

[1] 参考図書 『社会保障を問いなおす―年金・医療・少子化対策』 中垣陽子 著(ちくま新書)