家族政策に関する基本的な考え方


 日本においては、急激な少子化時代を迎えて時間は経過しているものの、本格的な家族政策の立案、実行は今日までなされてきませんでした。そこで本稿では、家族政策そのものを論ずるというより、その基本となる考え方に焦点を当ててまとめることにしました。

 

 まず、「多様性」及び「政治的公正」の2つの概念と、その問題点を明らかにするところから論を進めていきたいと思います。

 

 「多様性」の重視とは、一般的に多様な文化・習慣等に対して寛容に受け入れるべきであるとの意で用いられています。確かに、衣食住など、気候や地域により大きく違っているし、言語やその他の習慣も異なっているし、その違いを受容することは肝要でしょう。

 

 しかし、「性の多様性」との主張は、これらとは全く違ったものです。なぜなら、性には男女の2つしかないからです。衣にしても食にしても数え切れないくらい種類があります。それと2種類しかないものを一緒にできるでしょうか。

 

 また、LGBT法連合会のHPを見ると、「性の多様性」と題し無数の性を表示し、またLGBT出前授業推進派のある准教授は、教えるべきは「性の多様性」と強調し、「性は24」に分類できるなどと言っています。

 

 しかし、太古の昔より人類社会の存続は、男女の両性によって新たな生命が誕生し、その命の連続性によって今日があることは自明の理であり、自然界の原理です。

 

 ですから、日本国憲法第24条にも婚姻は男女の両性のみ認められ、戸籍上の記載も男女と定められているのです。つまり、自然界でも、人間社会でも、存続の基本は男性と女性の異性愛が基本であり、同性愛などと同等に価値視するような「性の多様性」はあり得ないということです。

 

 比較すると一目瞭然です。もちろん同性愛を主張する人は第3の性があるというでしょう。しかし、同性愛が先天的に生じたとの科学的根拠は今日まで示されていません。したがって、「性の多様性」は他の「文化の多様性」のカテゴリーに入れるものではなく、別の動機を持った人々が主張している誤った考え方であると考えざるを得ません。

 

 次に、「政治的公正」は、人種、民族、女性などの少数者や弱者に対する差別をなくすための手段として言葉使いをチェックする政治用語で、米国で多く使われてきたものです。具体的には、「インディアン」を「ネイティブアメリカン」、「ビジネスマン」を「ビジネスパーソン」に変えるなど、日本でも「看護師」「保育士」など呼称が変更されてきました。

 

 しかし、これらもある動機と目的を持って進められてきたため、例えば同性愛を少しでも否定するような発言をすると、直ちに差別だと大きな批判を浴び、法的に罰せられる事態まで生んできました。

 

 米国では、メディアやハリウッドが主導してキリスト教まで批判の対象になり、例えば大多数のテレビでは、クリスマスに「メリー・クリスマス」ではなく「シーズンズ・グリーティング」と言い、ジングルベルも流しません。結局、少数者や弱者に対する差別をなくすと言いながら、逆に大多数の人々を差別し攻撃し、場合によっては処罰するようになったのです。これらは明らかに異常です。

 

 こうなった背景を見てみましょう。『病むアメリカ、滅びゆく西洋』(パトリック・ブキャナン著、宮崎哲弥監訳)で、「政治的公正とは、文化マルキストによる反対派を処罰し異端の烙印を押すシステム」と看破しています。マルクスは、「共産党宣言」において家族の廃止を訴えました。この文化共産主義に由来する「フランクフルト学派」こそ、「少子化」と「家庭崩壊」を招来させてきた元凶という訳です。

 

 日本においても、「性や生殖に対する自己決定権」から「フリー・セックス」が、生理学的・文化的に性差はないとする「ジェンダー・フリー」から男女共同参画や同性愛者に結婚と同等の価値を認める、誤った考え方が導き出されてきました。

 

 「家族政策」を考えるに当たっては、上記の思想や言葉に影響を全く受けない、「家族に対する原則」がまず必要となります。法における原点は自然法と言っているのと同じことです。以下考えてみましょう。

 

社会を構成している基礎的単位は「家族」であって、「個人」ではない

 

②弱者を実質的に保護していくためにも、最も適しているのは「家族」である

 

③子供は男性と女性の間でしか生まれない

 

④性と生殖行為は付随した概念であって、切り離して考えることはできない。すなわち性行為と結婚を分離して考えるべきではない

 

⑤性には、男性と女性しかない

 

⑥子供は、父親と母親のもとでその愛情に包まれ適切な養育を受けることで、心身ともに成長する。ここにおいて父性愛と母性愛の両方が必要である。すなわち子供にとり、父親も母親も必要な存在であり、その役割が違うということ

 

⑦したがって「家庭は愛の学校」と言える

 

⑧子供にとっては、自然と親しみ自然を愛する情緒を育てることも大事なことである

 

⑨男女は結婚を通して家族を作り上げ、営み、自ら自身の愛を育てていくことになる

 

⑩子供にとっては、両親は一体であるので、父母は喧嘩や不倫をしない。子供に大きなトラウマができる

 

⑪祖父母、父母、子供が共に接する時間が多くあるほうが、子供の情緒が安定し、心身の成長に良い結果が出ている

 

⑫したがって、三世代近居、同居が望ましい

 

 以上に基づいて具体的な施策が考えられてきます。

 

 いくつか例としてあげてみましょう。①三世代近居・同居を推進する施策、②3歳児までを家庭で養育する場合の補助、③家庭で祖父母などの介護をするケースの補助、④結婚学の勧め教室、⑤夫婦学教室、⑥離婚予防教室、⑦親学教室、等々が考えられるでしょう。勿論これらはほんの一例であって、上記の原則に基づいたさまざまな施策が専門家の方々より出されてくることと思います。