入国禁止令に関するマスコミの偏向報道


 トランプ大統領が入国禁止を含む大統領令を発令しました。地方裁判所、控訴裁判所が一時停止の仮処分を執行したため、「やはり違法だったのか」と思った人もいるかもしれません。しかしアメリカのメディアは正確な情報をほとんど報じていません。日本も同様です。

 

 まず大統領令の目的は、以下のようなものです。

 「アメリカの入国審査は曖昧だ。ヨーロッパでは、難民に紛れて入国したテロリストがパリ同時多発テロ[1]を起こした。だからアメリカは、これから厳密な入国制度を作る。しかしテロリストがそれを知れば、その前に侵入する可能性がある。それでこれから3~4カ月の間、テロと疑われる人の入国は制限する」

[1] ISISのテロリストらが2015年、パリのサッカー場、劇場など5か所で同時に起こしたテロ事件。サッカー場にはフランスの大統領とドイツの外務大臣もいた。死者130名、負傷者300名以上。

 

 具体的には、「テロ懸念国」に指定される7カ国からの入国を90日間禁止する[2]。そしてISISの本拠地があるシリアからの難民を無期限で入国禁止し、他国の難民は120日間入国禁止するというものです。

[2] 2015年に制定された「ビザ免除プログラムの改定及びテロリスト渡航防止法」で、「テロリストをかくまっている」もしくは「テロ組織が大きな影響を及ぼしている」とされた国。イラン、イラク、スーダン、シリア、リビア、ソマリア、イエメンの7か国。詳細はこちらをご覧ください。

 

 

 米大手メディアが世論調査を実施したところ、この措置への賛成と反対は拮抗しています。アメリカでは、2011年の9.11テロの記憶がまだ生々しく残っており、「テロとの戦い」は今なお、現在進行形なのです。トランプ氏が、安全保障政策で最も重点をおいているのも、やはりテロ対策です。

 

 アメリカのメディアはこれをこぞって批判しました。しかしマスコミも、「テロ対策は必要ない」とは言えません。そこで話をすり替え、「トランプ氏はイスラム教徒の入国を禁止した」と報じました。裁判の提訴理由も同じです。大統領令は信仰の自由を規定する合衆国憲法の第一条[3]に違反しているのではないかというのです。

[3] 合衆国議会は、国教を制定する法律もしくは自由な宗教活動を禁止する法律、または言論・出版の自由もしくは人民が平穏に集会して不満の解消を求めて政府に請願する権利を奪う法律を制定してはならない。

 

 しかし入国禁止の7か国は確かにイスラム教の国ですが、その人口をすべて合わせても世界全体のイスラム教徒の約13%にしかなりません。そもそも7か国は、オバマ政権時代に「テロ懸念国」と指定された国です。かなり無理がある主張なので、最高裁ではトランプ氏が勝つのではないでしょうか。

 

 日本のマスコミがこうした事情を知らずに上から目線で批判するのは非常に傲慢です。日本の国会では民進党の蓮舫代表が安倍首相に意見を求めましたが、日本の首相が是非を述べる立場にはありません。当たり前のことです。

 

 大統領令の是非はともかくとして、日本はまず、「アメリカはこういう国だ」という事実を受け入れなければなりません。そして日本は、憲法9条という制約がある以上、自力で国を守ることができません。ですから日米同盟を最優先にするしかありません

 

 日本もこれを機に、国際社会の現実をよく理解すべきではないでしょうか。