中国国防省の露骨な「偽情報」工作


 中国国防省は12月10日、中国空軍機が同日午前に宮古海峡を通過して西太平洋に向かう定例の遠洋訓練をしている際に、航空自衛隊(空自)のF15戦闘機2機が接近して「妨害弾」を発射したと報じました。危険な行為に対して抗議するというのです。

 

 ところが日本の防衛省は「妨害弾」について「使用の事実はない」と否定しました。当日、空自の戦闘機が緊急発進したことは事実です。中国は西太平洋に通じる宮古島を重視しており、9月、11月にも同様の訓練が実施されています。

 

 注目すべきことは、中国による露骨な「偽情報」(ディスインフォメーション)工作が行われたということです。日本は、こんなこと(「妨害弾」の発射)を平気で行う好戦的で危険な国家であるというイメージを、国際社会に流布させ、定着させようとしているということなのです。

 

 『孫子の兵法』用間篇第十三にある「死間」(偽情報の流布)に基づく、計算された行動であるとみるべきです。太田文雄元防衛庁・情報本部長は、中国人民解放軍の幹部はみな、「孫子」を暗記していると言ってもいいと、述べています。

 

 もちろん、今回が初めてのことではありません。例えば、環球時報(人民日報の国際版)は2012年9月、「2006年3月4日に琉球(沖縄)で、住民投票が行われたところ、75%が独立を要求し、中国との自主的往来の回復を要求。残りの25%が日本への帰属を求め、独立を要求しなかったが自治に賛成」と報じています。

 

 ところが、06年3月4日に沖縄で住民投票をやったという事実は全くありません。真っ赤な噓なのです。その後、13年5月、人民日報に「沖縄の主権に関しては未解決」だから、中国も発言する権利があるのだというような社説が掲載されています。

 

 「偽情報」によって、日本に関係する事柄について中国の主張が有利になるような状況を創り出してしまうのです。次の行動の準備ということですから、中国軍への警戒レベルを上げなければならないのです。

 

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