公共施設における赤旗問題の課題と解決策


藤沢市と茅ヶ崎市が「庁舎内の赤旗勧誘禁止」に動く

 触らぬ神に祟りなし――。全国の市庁舎内のタブーであった「しんぶん赤旗」強制勧誘問題が、住民陳情をきっかけに、じわじわと動き始めている。ご存知の通り、「しんぶん赤旗」は日本共産党の政党機関紙で、同党の年間収入216億円の約8割以上を占める。発行部数は日刊・日曜版あわせて120万部。対して、党員はたった30万人。つまり、「党員ではない人に、いかに赤旗を買わせるか」が彼らの台所事情を支えてきた。なかでも、市役所職員は今も赤旗拡販の「格好の標的」にされている。

 

 今年2月23日、神奈川県藤沢市で「庁舎内における政党機関紙の勧誘・配達・集金について禁止を求める陳情」が趣旨了承され、3月16日には同県茅ヶ崎市でも趣旨了承された。

 

 例えば、藤沢市議会では、係長・課長など管理職の7割以上が赤旗を購読している実態が指摘された。その多くは「昇進おめでとうございます。つきましては、赤旗を購読して下さい。他の管理職もみんな購読していますよ」と共産党市議に迫られて、断りきれず契約したものだという。日刊紙の場合、共産党議員との“赤旗おつきあい費”は、年間4万円を超える負担。家族に黙って購読している職員も少なくないはずだ。

 

 庁舎内で物品の販売や勧誘を行う場合、市長の許可が必要であることは庁舎内管理規則が定めるところだ。自治体により多少の差異はあるものの、一般人が市庁舎内に無許可で立ち入り、職員に対して物品購入を迫るのは考え難い行為である。

 

 ところが、共産党市議らは許可を得ずに、長年にわたり、白昼堂々と政党機関紙の勧誘や集金等を続けてきた。「議員には政治活動の自由があり、管理規則に縛られない」というのが彼らの言い分だ。例えるなら、学校の先生が校庭で煙草をプカプカふかしながら「校則は生徒のためにあるんだよ」と、せせら笑っているような状況だろうか。 

 

議員の立場を利用したパワハラ勧誘が深刻だ

 無許可での勧誘、配達、集金行為は、個人情報を預かるセキュリティ上の問題、さらには、地方公務員法で定める「職員の政治的中立性」への疑念等、実態を知れば知るほど市民の疑念は深まっていく。中でも致命的な信用失墜につながるのが「議員の立場を利用したパワハラ勧誘問題」だ。

 

 かつて川崎市役所職員を対象に行ったアンケート(※)では、市職員の実に77.2%が「市議会議員から勧誘を受けたとき、購読しなければならないというような圧力を感じた」と答えている。全国的にも、同様の状況にある市役所が多数を占めることだろう。「しんぶん赤旗は、職員の自由意志により購読されている」とは、まるで程遠いのだ。

※川崎市が2003年に実態調査のために実施して公表。調査結果の拡散を恐れた共産党市議団が市との裁判闘争にもちこんだものの、1審(2009年)、2審(2011年)とも「調査は適法」との判断を示し棄却された。現在は、最小限の政党機関紙を公費で各党平等に購読し、執務室での個人購入は全面禁止にするなど、状況は改善されている。アンケートの詳細はこちら

 

 なぜ職員は赤旗購読を断らないのであろうか。それは、議員と職員の特殊な関係性に起因する。市議と職員はチェックする立場と、チェックされる立場にあり、職員は断わった後の「嫌がらせ」が恐いのだ。予算委員会で承認されなくては行政が進まない。共産党議員から質問や資料要求されれば職場は労働過多となる。質問や資料要求を大量に受けるような課長は、下からは突き上げられ、上からは能無しと思われる。その窮地に陥らないための保険が「赤旗購読」なのだ。

 

 これが「触らぬ神に…」で公然とまかり通ってきた。しかし、社会は情報セキュリティ強化や労働環境改善を求めるようになり、時代は大きく変わった。市としてもこれ以上「悪しき慣習」を放置しておくことは許されない。 

 

鎌倉市、行橋市等に倣い、庁舎内の勧誘・配達・集金の全面禁止を

 そこで、市が取るべき最善の対応が一つある。それは、「政党機関紙を読むならば自宅で購読するように」との方針を徹底することだ。そうすれば、情報セキュリティの問題、政治的中立性の問題、そして、パワハラの疑念が一気に払拭される。さらには、本当に赤旗を購読したい職員は、継続して購読できる自由までも保障されるのだ。この対応に不平を言う職員がいるだろうか。

 

 実際、東京都中野区などでは、こうした庁内通知により「今は何の問題もない」という。むろん、共産党支部は、収益が大幅に減って困っているかもしれない… が、各党公平なルールなのだから仕方あるまい。また、庁舎内管理規則を見直すことで全面禁止した鎌倉市の事例、個人情報保護を厳守するアプローチで全面禁止した行橋市の事例など、関心がある方はぜひ調べてみてほしい。

 

 最後に、本記事を共産党の関係者も読んでいることを期待して、一つ提言しておく。それは、国民の不信感を払拭するために党本部が次のように宣言することだ。「赤旗の購読の有無に関わらず、市職員に嫌がらせや不利益をもたらすような事は一切ありません。赤旗の購読は、完全に市職員の自由意志によるものだからです。全国の地方議員にもそのように徹底指導します」と。

 

 そうすれば、市職員は共産党市議に過剰な“忖度”をする必要がなくなり、赤旗購読の判断を自らできるようになる。議員と職員との関係は健全化され、国民の共産党への疑念も少しだけ晴れるだろう。

 

 逆に、その宣言ができないとすれば、「赤旗を購読する職員には影響力を行使し、購読しない職員には圧力をかけています。共産党にとって市職員は格好の資金源なので勧誘をやめられません!」と公言しているに等しい。国民の疑念は一層深まり続け、共産党は社会の隅へと追いやられていくことだろう。 

 

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