ADB総会にAIIB総裁も参加


 アジア開発銀行(ADB)の第50回年次総会が5月4日から横浜で開催され、日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁や麻生太郎財務相らが参加する。

 

 ADBは、1966年に設立された日米が主導する国際金融機関であり、本部はフィリピンのマニラに置かれている。道路や発電所といったインフラ整備の際に低金利で融資し、途上国の経済発展を促す役割を果たしてきた。2016年の新規融資額は約175億ドルである。

 

 これまでADBは、インフラ整備のための融資にとどまらず、技術面での支援や環境への配慮なども含め、相手国と一緒に開発プロジェクトを進めてきた。また、1997年のアジア通貨危機の際、緊急の資金供給を世界銀行や日本などと共に行い「崩壊」の危機を回避している。

 

 AIIB(アジアインフラ投資銀行)は2015年12月に中国主導で設立された。アジア各国には大量の資金需要があり、供給不足を補って途上国の経済開発を援助しようという趣旨である。しかし、「米国の金融覇権への挑戦」として設立されたという一面を持っている。今年の3月、カナダや香港など13ヵ国・地域の新規加入を認め、加入国は計70ヵ国となりADBの67ヵ国を超えている。

 

 田中直毅氏(国際公共政策研究センター理事長)は、AIIBがその設立目的を達成するための要件として、以下の内容を挙げている(15年9月14日)。

 

1)世界経済の成長への中国の寄与率が3割程度はある。

2)海外投資の継続を支える、輸出増などを通じた外資取得能力に疑問の余地がない。

3)人民元の為替相場が強含みで、為替取引の自由化に踏み出しても中国の内部からの資金流出に脅かされることはない。

4)経済制度の持続性を支えるマネジメント人材を海外に配しても、国内面において人材払拭の恐れはない。

5)制度の受益者を海外において増大させることができる。

 

 中国の現状は、これらの条件を満たしていない。成長率の鈍化、貿易黒字の減少、著しい資金流出、海外投資先でのトラブルなどが明らかになっている。

 

 AIIBは今、資金不足と未熟な投資ノウハウで行き詰まっている。それでもいくつかのプロジェクト(パキスタンでの道路建設など)が進んでいるが、ADB(アジア開発銀行)との共同融資の形をとっているのだ。

 

 ADB総会にAIIB総裁・金立群氏も参加する。AIIBはその覇権的思惑を捨てるべきだ。そして、中国の出資金の割合を大幅に減らし、中国の思惑通りに人事や融資等の決定がなされないように、また本部の所在地を第三国に移転するなどの規約の改正を検討すべきである。その上でADB主導の協力関係を構築、発展させて途上国支援と世界経済の発展に寄与すべきである。